どういうものを温泉と呼ぶのですか?

温泉は「温泉法」という法律で定義されており、地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガスであって

1. 源泉から採取された時の温度が25℃以上 2. 19種類の物質のうち1つ以上を一定量以上有するもの

以上の2点で、すべて「温泉」と呼びます。したがって、25℃以下でも、たとえば炭酸ガスが一定量以上含まれている地下水は「温泉」と呼ばれることになります。もちろん、湧出した時の温度が25℃以上であれば文句なしに温泉とよばれることになります。この定義とは別に、環境省が定めた「鉱泉分析法指針」に“療養泉”※1の規定があり、療養泉に当てはまる温泉には泉質名が与えられます。

■温泉法における「温泉」の定義

1 温度 摂氏25度以上(温泉源から採取されるときの温度とする。)
2 物質 (以下に掲げるもののうち、いずれか一つを含む。)

溶存物質総量(ガス性のものを除く1,000㎎以上
遊離炭酸(遊離二酸化炭素)250㎎以上
リチウムイオン1㎎以上
ストロンチウムイオン10㎎以上
バリウムイオン5㎎以上
フェロ又はフェリイオン(総鉄イオン)10㎎以上
第1マンガンイオ10㎎以上
水素イオン1㎎以上
臭素イオン(臭化物イオン)5㎎以上
ヨウ素イオン(ヨウ化物イオン)1㎎以上
フッ素イオン(ふっ化物イオン)2㎎以上
ヒドロひ酸イオン(ヒ酸水素イオン1.3㎎以上
メタ亜ひ酸1㎎以上
総硫黄1㎎以上
メタほう酸5㎎以上
メタけい酸50㎎以上
重炭酸ソーダ(炭酸水素ナトリウム)340㎎以上
ラドン20(百億分の1キュリー単位)以上
ラジウム塩1億分の㎎以上

(1キログラム中の含有量)

一般的効能 全ての療養泉の入浴に該当する効能

  • 筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり
    関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期
  • 運動麻痺における筋肉のこわばり
  • 冷え性、末梢循環障害
  • 胃腸機能の低下
    胃がもたれる、腸にガスがたまるなど
  • 軽症高血圧
  • 耐糖能異常(糖尿病)
  • 軽い高コレステロール血症
  • 自律神経不安定症、ストレスによる諸症状
    睡眠障害、うつ状態など
  • 軽い喘息又は肺気腫
  • 痔の痛み
  • 病後回復期
  • 疲労回復、健康増進
    生活習慣病改善など

泉質別適応症

特定の療養泉の入浴に該当する

泉質別の特徴

糖尿病にも効果あり! 硫黄泉
殺菌作用があり、皮膚の細菌やアトピーの原因物質を取り除きます。
皮膚を癒します 酸性泉
酸性の為、入浴すると皮膚にしみることがあります。また、殺菌力が強い為、慢性的な皮膚病の治療にも用いられます。
心とからだがホッとします 単純温泉
日本で一番多い泉質で、身体に対する刺激が少ないのが特徴。
あったかく癒します 塩化物泉
皮膚に塩分が付着する為、入浴後の保温効果が高いのが特徴。
話題の炭酸泉です 二酸化炭素泉
含まれる炭酸ガスが皮膚から吸収され、血管を拡張する為、血圧降下や保温効果があると言われています。
もっと美人になりたい! 炭酸水素塩泉
アルカリ性により皮膚の角質を軟化させることで肌が滑らかになることから「美人の湯」とも呼ばれています。
キズを治し腸を活性化! 硫酸塩泉
傷の治りを促進する効果があります。また、飲むことで腸の動きを活発化させます。
鉄分を補充!女性の味方です 含鉄泉
鉄分を多く含む為、空気にふれると酸化して色が赤褐色などに変化します。
なんと痛風、リュウマチに! 放射能泉
ラジウム温泉などと呼ばれることがあります。微量に含まれる放射能を皮膚や呼吸器から吸収することで炎症に効果的です。
高コレステロールの方に 含よう素泉
飲むことで含まれるよう素の効果から総コレステロールを抑制すると言われています。

泉質別適応症

単純温泉浴用自律神経不安定症、不眠症、うつ状態
塩化物泉浴用きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
飲用萎縮性胃炎、便秘
硫黄泉浴用アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害を加える)
飲用耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症
二酸化炭素泉浴用きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症
飲用胃腸機能低下
酸性泉浴用アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、表皮化膿症、耐糖能異常(糖尿病)
炭酸水素塩泉浴用きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症
飲用胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)
硫酸塩泉浴用きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
飲用胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘
放射能泉浴用高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など
含鉄泉飲用鉄欠乏性貧血
含よう素泉飲用高コレステロール血症

泉質名が一部変わりました

平成26年7月1日付で環境省は、『鉱泉分析法指針』も改定し、泉質名の付け方も変更がありました。改定前は、泉質名に「アルカリ性」と付くのは単純温泉のみでした。単純温泉のうち、湧出地でのpHの値が8.5以上の温泉を「アルカリ性単純温泉」といいます。改訂後は、特殊成分を含む単純冷鉱泉や、特殊成分を含む単純温泉についても、湧出地でのpHの値が8.5以上の場合、「アルカリ性」を付けることになりました。例えば、特殊成分を含む単純冷鉱泉には単純二酸化炭素冷鉱泉や単純硫黄冷鉱泉などがありますが、これらのpHが8.5以上であれば泉質名は「アルカリ性単純二酸化炭素冷鉱泉」、「アルカリ性単純硫黄冷鉱泉」となります。

pHが8.5未満の場合 pHが8.5以上(アルカリ性)の場合
単純二酸化炭素冷鉱泉アルカリ性単純二酸化炭素冷鉱泉
単純二酸化炭素温泉アルカリ性単純二酸化炭素温泉
単純硫黄冷鉱泉アルカリ性単純硫黄冷鉱泉
単純弱放射能冷鉱泉アルカリ性単弱放射能冷鉱泉
単純放射能冷鉱泉アルカリ性単純放射能冷鉱泉
単純放射能温泉アルカリ性単純放射能温泉

「温泉の成分等の掲示」の確認を

『禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準』が平成26年7月に改定され、すぐに脱衣所やロビー等に掲げる掲示そのものを新しく作り替えたという温泉施設があります。しかし、多くの施設では従来の掲示が掲げられており、利用者の皆さんは、禁忌症や泉質等の掲示がいつ作成されたのか注意深く見極めなければいけません。みなさんが訪れた温泉施設に新しい掲示が掲げられていましたら、お客様への説明責任を果たすべくプロ意識に徹したすばらしい施設であると賞賛してください。

温泉の豆知識

温泉は「十湯十色」と言われるぐらい泉質的に多様であり、厳密に言えば2つとして同じ泉質の温泉はありません。温泉を浸透圧やpH、温度により以下のように分類することで、温泉の特徴(情報)を知るのに役立っています。

浸透圧による温泉の分類
入浴をしたときに温泉の成分が体内に取り込まれるかどうか(生体細胞内外の物質の移行)ということは、温泉の浸透圧に大きく影響します。人間の細胞液(体液)に等しい濃度の水溶液を等張液といいますが、それと比べて浸透圧が高い温泉か低い温泉か、または同じくらいの温泉かということで温泉が分類されています。つまり、高張性の温泉は成分が体に浸透しやすいため、薬理効果は高まりますが湯あたりしやすく、逆に低張性の温泉は身体に優しいお湯であるといえます。
●低張性 溶存物質総量8g/kg未満
●等張性 溶存物質総量8g/kg以上10g/kg未満
●高張性 溶存物質総量10g/kg以上
液性による温泉の分類
温泉が湧出する時の水素イオン濃度(pH値)によって、温泉は酸性、弱酸性、中性、弱アルカリ性、アルカリ性に分類されています。一般的に、酸性の温泉は火山地帯の火山性の温泉に限られる傾向があります。美肌の湯、美人の湯と言われるような「つるつる感」のある温泉の多くはアルカリ性または弱アルカリ性で、温泉成分の重曹や炭酸ナトリウムなどの影響によるものです。
●酸 性 pH3未満
●弱酸性 pH3〜6未満
●中 性 pH6〜7.5未満
●弱アルカリ性 pH7.5〜8.5未満
●アルカリ性 pH8.5以上
泉温による温泉の分類
温泉が地上に湧出したときの温度、または採取したときの温度を泉温といいます。泉温により温泉は次のように分類されています。泉温が25℃以上か25℃未満かによって広義の温泉か冷鉱泉かに分類されます。25℃以上の温泉(広義)はさらに、34℃、42℃を境にして、低温度、温泉(狭義)、高温泉に分類されます。
●冷鉱泉 25℃未満
●温泉(広義) 25℃以上
 低温泉 25℃〜34℃未満
 温泉(狭義) 34℃〜42℃未満
 高温泉 42℃以上

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